FC2ブログ
2018_08
06
(Mon)17:12

わが家の最終的解決を今考える

2016年初演『わが家の最終的解決』DVDをちょくちょく見返す。
当時はぼんやりとしか見えていなかった、そこに強い嫌悪を覚えてはひとしきり批判的になった

だから見返すたびに苦いものがこみ上げてしまい、
アガリスク(作品、メンバー込み)を嫌いになってしまうんじゃないかと恐れて
「ならば何故嫌悪を抱くのか」を少しづつ言語化していった。

2019年に再演されるとのこと、観に行けるかどうかは明言できないし現時点では観に行く意思は無い
なので、以下はあくまで2016年初演についての個人的な考えであることをご留意願う
本作は5月に他団体で上演された際に題名や内容で若干アレコレあった
(SNS上のボヤ程度だけど)
僕から見れば、内容をろくに観てもない知らない外野がガタガタ言うなと呆れるだけだ。
逆に聞きたいのは
「舞台作品として、題材として【最終的解決】を取り上げちゃいけない理由があるのか」
ってことだった。

20世紀を語るにおいて外せない、未曽有の大殺戮を笑う描写など一切なかった。
現実の、歴史の痛手に忠実に寄り添うだけが後世の人間の役目じゃない。
ひとの裡にある何かを、おもてに出す時、一個しか正解が無いなんてことがある訳ない。
他人の答えを糾弾する前に、自分の答えだけが正解だという勝手な前提を作るなよ。

そもそも、正解は、無い。

2016年版において、どうしても引っかかりを感じたのは、
各登場人物のポジション(シチュエーションコメディというグラウンド内で)は的確で、
コメディの波形?システム?ともかくそう言った作品の流れにおいてきちんと機能していた。
その一方で、どうしてもポジションからはみ出す部分が気になった。

はみ出すものは、役者によってやや異なるけれど、
おもに「人物の性格や為人、細かいことを言えば発語の調子など」

極論だけど、シチュエーションコメディにおいて登場人物は作品内に配置される駒だ。
名前やら性格といった詳細な設定ががっちり作られなくても、
システムにちゃんと合致させられれば、名前なんて正直なところ名札、記号で十分だ。
性格も然りで、人物の役割や造形から甚だしく逸脱しなければ力で押し切れる部分もある。
―無論、全部を力や流れで押し切ってしまうと無理が生じて、観客はついて来なくなるけれど。
となると、「人物の性格や発語」の匙加減は演者の個人的、無自覚な癖で決まる。

作品において、登場人物が単なる駒としてだけでなく、
できれば人として観客が愛せる(感情移入できる)存在であったほうが、
後々まで作品が生きていく、継承されていくんじゃないかと思う。
演じ手が誰であれ、その「人物」だから愛される、という部分は欲しい気がする。
やっぱり、人間は「誰でもいい」じゃ嫌で、「この人だから」という思い入れや特別感が欲しいんだろう。

さっきから全く『わが家~』の話に踏み込めない笑

唐突だけど、主人公ハンスと恋人エヴァのこと。
ビジュアル的には文句のつけようがない、見事な「お人よし主人公と元気ヒロイン」で、
観てるだけでいいなあ、素敵だなあ、とこちらの口角が上がってしまうような。

それだけに、どうしてもエヴァを「人物」として愛せないのがしんどかった。
元気の良さと押しの強さ、家族を思うまっすぐさ
→これら全部がハンスを振り回し困らせ、窮地に陥らせた

……いや、ココ笑いどころですよ解ってます、でも!
「何でそんなにハンスを困らせたいの?それで自分がゲシュタポの手にかかるかも知れないよ?いいのか?」
「エヴァは本当にハンスを好きなの?匿われてる身で、家主に無断で家族呼ぶとか、どういう常識?」
「出生証明書の件も、1通しかない理由は明らかなのに家族の分も手配してくれとか、あの場面で言う?」
あとコレは蛇足だけど
「周囲に自分たちの存在を言ったほうがいいとか、攻撃は最大の防御とか、当時のオランダ事情なめてる?」

……いや、分かってるんですよ、むしろソコを笑えって言うのは
あり得なさを笑うのは分かるんだけど、どうしてもエヴァを愛せないのは何故だろう。
エゴが過ぎる場面(出生証明書)、彼女の立場でそこまで言えるのかと疑問な場面、
ハンスを本当に好きなのか疑いそうになる場面(オットーを説得する)←打算込みだとしても酷くね?

しかしそうなると、じゃあ何でハンスはエヴァと恋人なのかってところにも突っ込まなきゃいかんのか…
お人よしの、優しいハンスからしたら、エヴァのあの「発語の強さ」はちょっと脅威じゃなかろうか?
正直、冒頭から結構な勢いの発語と声量で、エヴァがハンスを圧倒し続けてる印象が強かった。
エヴァの語調と発語が最高潮に強くなるのは、やはりハンスがゲシュタポだと知る場面で、
誤魔化そうとするハンスに対して「ちゃんと答えてよ」と詰問する
あの台詞こそが一番強い発語であって欲しい。
ハンスへの疑念、まさかという不安が急速にエヴァを絡めとる、あの状況だから。

ハンスに肩入れし過ぎなんだろうか…
エヴァと家族の絆が理解できない己の乏しさなんだろうか…
スポンサーサイト